【人間作業モデル】「認知症高齢者の絵カード評価法」は重症心身障害児(者)施設でも活用できそう

【人間作業モデル】重症心身障害児(者)施設ではどの評価を使う?Part2 ー学び始めて半年経過ー でも書きましたが「認知症高齢者の絵カード評価法」という評価をよく使っています。

「重心施設で認知症高齢者用の評価?」と思いましたが結構使える!

先日実習に来た学生さんは「授業では『精神科でよく使われる」と聞きました」と言っていました。私の周りにはこの評価を使っている人は残念ながらいませんが、

「認知症高齢者の絵カード評価法」とはどんな評価法?

作業名とイラストが描かれたカードを使用する

マニュアルを購入したら、絵カード一式も付属していたので、すぐに始めることができました。

70枚のカードには「食事をとる」「トイレをする」などのADLや「仕事をする」「洗濯物を取り込む」などの仕事・役割活動、「手芸をする」「パズルをする」などの趣味・余暇活動が描かれています。

「とても重要である」「あまり重要でない」「全く重要でない」の3段階に分ける

重要度の分類も、絵カードと同じサイズのカードが付属していました。認知機能の著しい低下がある場合、「とても重要である」「全く重要でない」の2つに分類する方法でも作業の意味を評価できる、とされています。また、単に重要度を分類するだけではなく、絵カードに描かれている作業にまつわるエピソードなどが語られることもあり、それらも作業の意味を評価する材料になります。

重症心身障害児(者)施設で使おうと思った理由

「本人にとって意味のある作業」の手がかりを知りたい!

重症心身障害児(者)施設で人間作業モデルを使ってみたい! ー人間作業モデル初心者の記録ーでも書いたように

  • 生まれつき重度な障害(知的にも身体的にも)があり、本人からの情報収集は難しいことが多い
  • 本人の興味のあることや好きなことがわかりにくいことがある

などがあり、「本人にとって意味のある作業」を評価するのが難しいと感じます。

また、施設で提供できる活動にはいろいろ制限もあり、施設で過ごしている期間が長い方は経験自体が少なく、

カードにイラストが描かれているため伝わりやすそう!

作業療法室に実際に道具や材料がある場合は、提示したり試しにやってみるということができます。しかし、その方法だとセラピストの興味に左右されるし、道具や材料を購入する場合にも手あたり次第試すわけにもいかないし…。趣味・余暇活動だけでなくもっと幅広く「意味ある作業」について評価する方法がないかな、と考えていました。この絵カード評価法は、ある程度の理解度は必要ですが使える方がいるのではないか、と思いました。

絵カード評価法を使ってみた結果

表出が難しい対象者にも使える場合がある

ケース1:日常生活における理解は良好で、発語とジェスチャーでYES/NOの表出ができるAさん

塗り絵をしたりテレビを見たり…の毎日ですが、本人は何だか物足りなさそう。でも「これがしたい!」という明確な意思はなさそう。絵カード評価法を行うと「食事の準備」「後片付け」などに興味があるということがわかりました。余暇活動の提案はしたことがありましたが、役割活動を求めていたとは全く気付きませんでした。

新たな趣味活動につながった方もいる

ケース2:知的に高く、余暇活動も楽しまれているBさん

言語的なコミュニケーションも良好で、施設内での役割活動(テーブル拭き)を行い、複数の活動グループに所属し、余暇時間には自分の好きな活動を選択して行っている方に、絵カード評価法を実施しました。元々興味の幅も広い方でしたが、「編み物に興味がある」ことがわかりました。今まで行った経験はなく、片麻痺ということもありOTも勧めたことはありませんでした。片手でもできる道具や環境を設定し、週に1回のOT訓練の時間に実施しています。まだ1人で行うことは難しいため「いつでもできる趣味活動」というわけではありませんが、本人の興味を聞き出すことができる良い評価法だなと感じました。

対象者にとってなじみのない活動もある

「アイロンをかける」「漬物をつける」などの項目は、元々この評価が対象としている方にとってはなじみのある、本人の意欲を引き出しやすい作業でも、重心施設に入所されている方にとっては「何それ?」という反応のこともありました。それは仕方ないです。初めからその項目を飛ばすこともありましたが、「アイロンをかける」から洋服への興味などに話が広がることもあり、OTの技量が問われる…と痛感しました。

重要度の3分類は難しいこともある

上の評価法の説明にも書いているように、私も重要度の3分類が難しい対象者の場合は「重要」「重要ではない」の2分類で行いました。しかし、そもそも「重要」という概念が難しい場合もありました。重要かどうかではなく、「日常的に行っているかどうか」で分類される方もいました。分類は参考程度にして、なるべく本人からの語りを引き出すなど工夫して実施しました。ここはもう少し検討します。

まとめ

「初めは「認知症高齢者の~」という評価名を見て、私には関係ないと思っていました。しかし、人間作業モデルやそのほかの評価法を学ぶにつれて、「もしかしてつかえるかも?」と思うようになりました。実際に使ってみて認知症高齢者の絵カード評価法」は重症心身障害児(者)施設でも活用できそうだと感じました。

  • 重症心身障害児(者)施設でも使えそうだと発信すること
  • 他の評価(MOHOSTなど)と組み合わせて、効果判定をすること
  • 症例報告等で発信すること

が今後の私の課題です。興味がある方はぜひ使ってみてくださいね。

参考文献

認知症高齢者の絵カード評価法(APCD) 改訂版・使用者用手引書.山田孝(監).井口智也、小林法一(著)

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