【人間作業モデルの評価】重症心身障害児(者)施設ではどの評価を使う?-4種類を使った感想-

重症心身障害児(者)施設で使える MOHO評価4種類

私が担当している方々

4月から新しいフロアへ異動になり、心機一転がんばっていきます。

現在担当しているフロアの利用者様は機能レベルに幅があります。身体機能面では寝たきりの方から走れる方まで、認知面では刺激に対する反応が少ない方から簡単な計算・漢字の理解ができる方まで。

平均年齢は40歳前後、だけど発達年齢では1歳未満の方もとても多い。だから、適切な評価を選択するのは難しいと感じます。そもそも本人のニーズを聞き出すことが難しいんです。

クライアントがその評価過程に直接かかわることができない場合は、作業療法士はクライアントの見方の理解を作り上げるあらゆる努力をすべきである。

キールホフナーの人間作業モデル -理論と応用ー【改訂第5版】

最近になってMOHOについて学び始め、実際に評価を使いながらの方が理解が深まるのではないかと感じました。そこで「使えそう」と思う評価表を購入して、使ってみながらそれぞれの評価の違いや「重心施設でも使えるのか」について感じたことをまとめていきます。

購入したマニュアル

購入したのは

作業療法士が低機能状態のクライアントの意志に対する洞察を容易に得られる方法がある。

キールホフナーの人間作業モデル -理論と応用ー【改訂第5版】

と挙げられていた

  • MOHO-ExpLOR:人間作業モデル探索レベル成果評定法
  • SCOPE:短縮版小児作業プロフィール
  • MOHOST:人間作業モデルスクリーニングツール
  • PVQ:小児版意志質問紙

以上4種類のマニュアルです。

VQ(意志質問紙)も挙がっていましたが、PVQの内容を見て検討しようと考えたため、今回は購入しませんでした。

それぞれのマニュアルを使ってみた感想

あくまで個人の感想です

私が、私の担当利用者様に使用してみた感想です。MOHOについて・評価についての理解不足もあると思います。評価をご使用の際は、マニュアルをよく読んで正しくお使いください。

MOHOST と SCOPE と MOHO-ExpLOR 

MOHOST、SCOPE、MOHO-ExpLORはどれもスクリーニングとして使用される評価です。

MOHOSTとSCOPEは一般の人々の作業ニーズを評価するときに用いられ、MOHOSTは青年、成人、老人に適しており、SCOPEは小児と青年に適している。一方、MOHO-ExpLORは、作業参加が重度に障害されている青年、成人、高齢者に適している。

キールホフナーの人間作業モデル -理論と応用ー【改訂第5版】第18章より

MOHO-ExpLORが人間作業モデル改訂第5版に掲載されているものと違ったので事務局に問い合わせたところ、「本は初版、マニュアルは改訂版」という返事でした。

これらの説明を読み、MOHO-ExpLORまたはSCOPEが適しているのではないかと考えました。

MOHO-ExpLORは、複雑なニーズを持つ人々の作業参加を促進している作業療法士に、理論に導かれた評価の枠組みを提供する。

人間作業モデル探索レベル成果評定法 使用者手引より

複雑なニーズとは次のように定義される

「身辺処理、生産性、余暇への適切な従事、あるいは、従事の完全な欠如によってもたらされる、意味のある根本的な問題」

人間作業モデル探索レベル成果評定法 使用者手引より

「複雑なニーズとは」の説明が難しくて理解が不十分かもしれませんが、意味ある作業への参加が根本的に難しい、ということ…? 重症心身障害児(者)施設に入所されているような方が該当すると理解しました。

2022.5.19 追記

MOHO-ExpLORの目的に書かれている「複雑なニーズ」について、英語版マニュアルを読み比べしました。興味がある方は【人間作業モデル】「複雑なニーズ」について考える(MOHO-ExpLOR)をご覧ください。

SCOPEとMOHO-ExpLORの評価項目自体は、それほど違いがありませんでした。評価項目の半分が「環境」に関することでした。実際に使ってみると、その「環境」の評価がなかなかつけられませんでした。もっと環境に目を向けないと…。評価項目がはっきりすることで、自分自身の観察力を鍛えられると感じました。

SCOPEは評価基準に「この子は〇〇だ」のような書き方をされているので、成人の方への使用は適さないのかな、という印象でした。SCOPEは親や先生の記入項目もあり、今後学齢期の方を担当した時に使ってみたいと思います。(今担当している方に学齢期の方がいないので)

一方で、MOHO-ExpLORでは十分に評価できない方もいらっしゃいました。ある程度の認知機能・身体機能があり、余暇活動なども日常的に実施している方は、MOHO-ExpLORでは技能・環境いずれも問題なかったため、MOHOSTを実施しました。

今後は

 ①まずMOHO-ExpLOR

 ②MOHO-ExpLORでは不十分な場合はSCOPE(学齢期)かMOHOST(成人)

のように使い分けようと思います。

PVQ

観察によって意志の評価をするものです。また、環境の評価もすることで、環境がどのように意志に影響を与えているかということも評価できます。関わる人や環境で、対象者の反応が違うというのは実感しています。そこをしっかり可視化して再評価できるようにするのはとても重要なことだと思います。

探索とは、子ども達が感覚的経験や楽しみという目的から、環境と交流したいという欲求を示すという段階をさす。それは、その子の環境に対する興味と、その子の環境に関して発見をするというニーズを指す。探索は、比較的安全で、興味ある環境の中で起こる。この段階の目的が発見であるため、失敗の恐れはない。

小児版意志質問紙(PVQ)使用者用手引書より

「好奇心を示すか」「動作を始めるか」など14の項目を、必要な支援の程度によって4段階で評価します。また、評価時の環境を記録することで、環境が意志に影響している可能性も考慮することができます。

私が担当している方は、言葉でやりとりできる方もいらっしゃいますが、ほとんどの方は言語的なコミュニケーションは難しいです。だから、「どのように感じているか」「何が好きなのか」「何をしたいのか」などは、「アプローチして反応を見て修正してアプローチして…」を繰り返すしかありません。でも、対象者が本当にそう感じたのか?私が感じただけなのか?その根拠が弱いと感じることもあります。対象者の言語能力や認知能力に関係なく、観察によって本人の意志を推測できるというのはすばらしい!(語彙力…) 

PVQの項目は、VQの多くの項目と類似しているが、その項目はより幼い子どもたちの発達に即したものに作られている。

キールホフナーの人間作業モデル -理論と応用ー【改訂第5版】より

VQ(意志質問紙)とどのような違いがあるのか、今後比較してみたいと思っています。

まとめ:重症心身障害児(者)施設でもMOHO評価は使える!

まだまだ勉強中ですが、それでもMOHO評価は重症心身障害児(者)施設使えそう!という気持ちでいっぱいです。今まで対象者の表情や様子から推測して記録していましたが、もっと確信をもって評価・介入をし、変化も追っていきやすいのではないかと感じました。みなさんも、ぜひ学んでみてください!

参考文献

・キールホフナーの人間作業モデル -理論と応用ー【改訂第5版】 Renee R. Taylor編 山田孝監訳

・人間作業モデルスクリーニングツール(MOHOST) 使用者手引書 改訂訳 山田孝監訳

・短縮版小児作業プロフィール(SCOPE) 使用者手引書 山田孝監訳

・人間作業モデル探索レベル成果評定法 使用者手引き (MOHO-ExpLOR) 山田孝監訳

・小児版意志質問紙(PVQ) 使用者用手引書 山田孝訳

・複雑なニーズを持つ人々へのリハビリテーション:作業療法士に対する使用者手引Version1.0 山田孝監訳

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