【人間作業モデル】VQとPVQ どう使い分ける?-重症心身障害児(者)施設での活用-

人間作業モデル VQとPVQの使い分け

人間作業モデルで意志を評価する方法に、VQ(意志質問紙)PVQ(小児版意志質問紙)があります。一般的にはVQ、対象者が小児ならPVQとされているので、使い分けで悩むことは少ないでしょう。では、重症心身障害児(者)施設ではどちらが適しているのでしょうか?

私が勤める重症心身障害児(者)施設に入所されている方は、成人の方が多いです。

ですが、一般的な成人向けの評価は実施が難しいこともあります。本を読むだけではVQとPVQの違いがよくわからなかったので、実際にマニュアルを購入して使ってみることで、2つの評価の違いについて調べてみました。

VQとPVQは意志を評価する

VQとPVQは、観察によって意志を評価する方法です。

人間作業モデルにおける意志とは

・個人的原因帰属(個人的能力と有効性があると認識すること)

・価値(重要だとすること)

・興味(行うことに楽しみや満足を見出すこと)

の3つの要素から構成されます。

VQを開発した主な理由は、自分の興味、価値、個人的原因帰属、目標を、様々な理由で言語的に表現することができない人々に”声を与える”ためであり、自分の行動や非言語的表現を通してそれを行うことができるためであった。

キールホフナーの人間作業モデル -理論と応用ー【改訂第5版】

VQとPVQの違い

共通点

ではVQとPVQは何が違うのでしょうか? 一般的にPVQは2~7歳、VQは8歳以上が対象とされています。

PVQは、VQと同じ実施法、評定、分析の手順で実施され、環境様式と観察の要約に書き込むのも同じである。

キールホフナーの人間作業モデル -理論と応用ー【改訂第5版】

PVQの項目は、VQの多くの項目と類似しているが、その項目はより幼い子どもたちの発達に即したものに作られている。

キールホフナーの人間作業モデル -理論と応用ー【改訂第5版】

どうやらVQとPVQの大きな違いは評価項目のようです。そこで、それぞれの評価項目を比べて、どちらが使いやすいのか、使い分けの基準などを調べてみました。

評価項目の違い

意志は探索、有能性、達成という3つの段階にわかれます。VQとPVQの評価項目をそれぞれの段階にわけて比べてみます。

VQ・PVQそれぞれにしかない項目をで書いています

VQPVQ
探索1.好奇心を示す(Shows Curiosity)
2.行為や課題を始める(Initiates Actions/Tasks)
3.新しい物事を試みる(Tries New Things)
9.好みを示す(Shows Preference)
14.ある活動が特別であるとか意味があることを示す(Shows That An Activity Is Special or Significant)
1.好奇心を示す(Shows Curiosity)
2.動作を始める(Initiates Actions)
3.課題に向かう(Task-directed)
4.好みを示す(Shows Preference)
5.新しいことを試みる(Tries New Things)
有能性4.誇りを示す(Shows Pride)
7.誤りや失敗を訂正しようとする(Tries To Correct Mistakes/Failures)
8.問題を解決しようとする(Tries To Solve Problems)
11.活動に就いたままである(Stays Engaged)
13.目標を示す(Indicates Goals)
6.かかわり続ける(Stays Engaged)
7.熟達の楽しみを表現する(Expresses Mastery Pleasure)
8.問題を解決しようとする(Tries To Solve Problems)
9.効果を生み出そうとする(Tries to Produce Effects)
10.技能を練習する(Practices Skill)
達成5.挑戦を求める(Seeks Challenges)
6.もっと責任を求める(Seeks Additional Responsibility)
10.完成や達成のために活動を続ける(Pursues An Activity To Completion/Accomplishment)
12.もっとエネルギー、感情、注意を向ける(Invests Additional Energy/Emotion/Attention)
11.挑戦を求める(Seeks Challenges)
12.環境を組織化したり、修正したりする(Organizes/Modifies Environment)
13.完成に向けて活動を続ける(Pursues Activity to Completion)
14.想像力を用いる(Uses Imagination)
段階別の評価項目

VQとPVQの項目で一致しているのは8項目でした。VQのみに含まれている項目は、他者を意識したものが多い印象です。逆にPVQのみに含まれている項目は、有能性の項目でよりスモールステップで評価ができる印象でした。  

重症心身障害児(者)施設ではどちらが使いやすいのか、という疑問には…正直、使い分けの基準は私の中でははっきりしませんでした。VQの方が、認知的に求められるレベルが高そうですが、年齢での線引きは難しいし、「この項目ができそうならVQ」という基準になるような項目も無さそうだし…。

しかし、もともとVQが「認知症など自分の意志を伝えることが難しい人」を対象としているのであれば、あえて小児用を使わなくても良いのではないかと思いました。

個人的には、PVQの方が「簡単な項目」→「難しい項目」と順番に並んでいるようなのでつけやすい、という印象でした。

まとめ:一般的な基準に従ってVQとPVQを使い分けてみよう

VQとPVQは、観察によって意志を評価する方法です。一般的にVQは8歳以上、PVQは2~7歳とされています。重症心身障害児(者)施設での使い分けについては、一般的な基準に従って8歳以上の方にはVQを使ってみようと思います。VQとPVQの評価に慣れることで何か見えてくるかもしれないので、今後検討しようと思います。

2 COMMENTS

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。