現在総合実習(8週間)の指導の真っ最中ですが、「ある程度のスケジュールを決めておけばよかったな」と反省しています。「前半はメインの指導者について、後半にそれ以外のOTの訓練見学に入らせてもらおう」と考えていましたが、具体的には決めていませんでした。
また、今まで評価実習は受けたことがありませんでした。理由は
- 評価実習期間が冬であることが多く、担当の利用者様が体調を崩してしまうことがある
- 実習生-利用者様の関係作りが短期間では難しい
というのが主なものでした。しかし、実習指導の方法にCCSを取り入れ始め、症例担当ではなくなったので、今年度は評価実習も受け入れることにしました。
初めての評価実習(3週間)でどのように指導するかも、考えておかないとあっという間に終わりそう…と思ったので、考えてみました。
実習生に合わせた指導が基本となるため、今回は総合実習・評価実習と分けるのではなく、一緒に考えていきます。
0週目:安心して実習がスタートできるような配慮
実習1週間前頃、実習生から電話がかかってきて、実習初日の時間や場所・服装について確認されます(養成施設・実習施設によって違うかもしれません)。ここで実習生と指導者が初めて会う、ということが多いです。
実習生はとても緊張しながら電話をかけてきます。会ったこともない人に電話をかけないといけないし、しかもその人との相性次第で、これから数週間の実習期間がうまくいくかどうかが決まってしまうかも…というプレッシャーの中電話をかけてきます。少なくとも、私はそうでした。
「電話してくれてありがとう」の気持ちをこめて、顔が見えない分しっかり明るい声で応対しましょう。
1週目:実習指導者-実習生の関係作り
1週目で1番大切なのは、実習生の緊張をほぐすことだと考えています。実習に集中するためにも、余計な緊張は早めにほぐしてもらいましょう。かといって、あまり個人的な質問をすると、かえって緊張させてしまうこともあるでしょう。指導者自身のことも伝えながら、実習生がどんな性格なのか、何が好きなのか、などを把握することで、指導の仕方や関わり方を考えていきます。複数の指導者で関わる場合は、お互いの情報共有も重要です。
もちろん実習なので、知識・技術面での確認も大切です。理解度に応じて指導方法の工夫も必要になるでしょう。「総合実習だからこのぐらい知ってて当然」と思わないでください。「こんなことも知らないの?」とあきれないでください。目の前にいる実習生の能力を適切に評価し、指導方法を検討することが大切です。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」とは、山本五十六の有名な言葉ですが、実習指導も同じです。
2週目:
私が勤務している施設では病棟担当制となっています。そのため、実習指導者と一緒に行動する実習生は関わる病棟が固定されてしまいます。また、OTそれぞれで考え方やアプローチの仕方が異なります。そのため、指導者以外のOT訓練見学の時間も設けます。
3週目:
利用者様が生活されている病棟で、病棟スタッフの業務を1日体験する日を設けています。
- 普段生活されている環境を知る
- 病棟スタッフの業務を知る
ことを主な目的としています。
私たちの仕事は訓練の時間で完結するものではなく、「どのように日常生活に汎化させるか」ということが大切だと思います。そのためには、生活環境や、生活を支える病棟スタッフの業務の把握も重要です。
「病棟業務、大変だったな」だけで終わってしまわないように、病棟研修を行う前に、利用者様の普段の生活に関心を向けるような指導が必要です。
4週目:
PTやST、歯科衛生士、訪問教育など、利用者様が関わる作業療法以外の専門職の見学の機会を設けます。他職種と関わることで、他職種の視点をしり、OTとの専門性の違いを知り、チームアプローチについて考えるきっかけになると考えます。
総合実習の場合、4週目ぐらいに養成施設の先生が来られる実習地訪問があります。そこで先生と指導者と情報交換を行い、指導者として指導方法を見直し今後の検討をします。
もちろん、実習地訪問までに実習生のことで気になることがあれば、養成施設に連絡をして情報交換をします。養成施設と実習施設が、お互い顔の見える関係であることも大切です。
評価実習であれば3~4週間で実習が終了します。
5週目~8週目
実習前半から見学は行っているし、項目によっては模倣でできていることもあるでしょう。見学の段階では、指導者の臨床思考過程を説明し、視点を伝えた上で臨床技能を実演します。それらを理解しているようであれば、徐々に模倣に進めていきます。後は実習生の理解度を確認しながら見学して模倣して、難しかったら見学に戻って…の経験をたくさん積み重ねていきます。
見学-模倣-実施のそれぞれの段階で、どのような指導を行えばよいのか
まとめ:ある程度のスケジュールを決めたうえで、実習生に応じた対応が大切
従来型の患者担当制であれば、実習生の知識・技術等スタートがどのような状態であっても、「評価・プログラム立案・実施・再評価」という流れが一般的でした。
実習生に経験の機会を多く提供できる、というのがCCSのメリットの1つだと思います。見学段階でたくさんのインプットをして、模倣段階でアウトプットしながらその場でフィードバック、実施段階で指導者の見守りのもとアウトプットする…
そのために、実習生の理解度に応じて柔軟にスケジュールを調整しながら、たくさんのインプット・アウトプットが経験できるようなばを提供していきたいと考えています。
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