作業療法士として働いていると、後輩指導や学生指導など「教える」場面があります。指導方法として「コーチング」について学んだので、基本的なことをまとめました。
コーチングの3原則
コーチングとは、コミュニケーションを通して、相手の目標を達成するために必要なスキルや知識を備えさせるプロセスのことです。
コーチングには次の3つの原則があります。
- インタラクティブ(双方向)であること
- オン・ゴーイング(現在進行形)であること
- テーラーメイド(個別対応)であること
インタラクティブ(双方向)であること
コーチする側もコーチされる側も「話す」「聞く」の両方を行います。一方的に指示をするだけではなく、相手の考えを引き出すことが重要です。
オン・ゴーイング(現在進行形)であること
1回のコーチングですぐに結果が出るわけではありません。働きかけを続けることで徐々に変化が見られます。現在進行形で定期的にコーチングを行うことで、実践→フィードバック→改善→実践→フィードバック→改善…と、少しずつ確実に成長することができます。
テーラーメイド(個別対応)であること
人の価値観や考え方、行動パターンなどはそれぞれ違います。そのため、Aさんに効果がある方法がBさんに通用するとは限りません。それぞれに合った関わりが必要になります。
重要なコーチングスキル5つ
コーチングを行う上で特に大切なスキルが次の5つです。
- 聞く
- 質問を創る
- アクノレッジメント(承認する)
- 要望する
- フィードバック
聞く
相手がアウトプットできる場を作る。十分な時間と、相手の話を聞こうとする意思が必要です。言葉だけではなく、言葉以外のメッセージ(表情、声のトーン、目の動きなど)を受け取る必要もあります。話を聞くときに重要なことは
- 相手が十分に話せるように待つ
- わかったふりをせず、理解できないときは正直に伝える
- 相手の求めていることを聞く
- 訂正や批判はしない
- 相手の話に興味を持ち、相槌を打つ
質問を創る
聞く能力と同じぐらい、効果的な質問を創る能力も大切です。コーチングにおける質問とは、相手自身が必要としている情報を、相手の中から引き出すためのものです。質問するときの状況やタイミング、言い方によって効果は変わってきます。
アクノレッジメント(承認する)
アクノレッジメントとは「相手の変化(成果や成長)に気づき、それを言葉にして伝え、相手の存在を認めること」です。
リクエスト(要望)する
やりたいことがあったり、やるべきことはわかっているけど自信がない時などに、背中を押すように「リクエスト」します。
リクエストは指示や命令ではないので、相手が同意しない場合もあります。その時は質問して「どこまでならできるのか」を確認し、相手が実行しようと思う行動を改めて「リクエスト」します。
フィードバック
フィードバックとは、その人の行動がどのように見えるか、その人が自分にどんな印象を与えているかをありのままにつたえることです。
フィードバックを行う上で気を付けることがあります。
- 相手をコントロールするために行わないこと
- 相手を攻撃するために行わないこと
- 具体的・記述的であること
- 必要性が感じられること
- 相手の人格や性格ではなく、行動について事実を述べること
- 自分の責任で行うこと
- 適切なタイミングであること
- 伝わっているかどうかの確認をすること
まとめ │もっとコーチングを学ぼう
学んで実践してやり方を見直して… 常に学び続ける必要があります。1回学んだから大丈夫、というわけではありません。自分のコミュニケーションについて意識して関わることで相手の能力を引き出すために、ぜひコーチングについて学んでみてはいかがですか?